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壮大な魂の世界
W さん



 
 白い布を纏った若い女性が、冷たい石の棺の上に横たわっている・・・
そんなヴィジョンが、見えたのは整体をしてもらっている最中だった。
普通に会話しているのに、気のせいかしら?・・・と思い、言わないでいた私。

 初めて玲子先生の元を訪ねたのは、「前に進みたいのに進めない! 何か内側から気付く事で、変われるんじやないかしら? それなら、心に響く色々な事を、自分で体験しながら探っていくしかない!」 そんな想いが、溢れてきたからだった。

 昨年離婚を体験。結婚当初から度重なるトラブルが続き、そこから起こる家庭不和。ストレス続きでいつもどこか体調がすぐれず、何もかも面倒くさくてやる気がおきなかった。病院こそ行かなかったが、うつ的な症状。離婚後1年経って回復はしてきたものの、今後どうしたいかが全く見えて来ない。
失敗しても、期待通りでなくても大丈夫、ひとつひとつ心に響いたものを行動して、クリアにしていこう! そんな気持ちで予約をいれた。すると・・・久々に、心がワクワクしてきた。まるで眠っていた魂が、喜んでいるかのような、そんな不思議な心地よさを感じた。
 そして・・・初めてのセッションで見たのは、私の過去世「アーニャの人生」だった。

 白い布を頭からかぶった女性の姿、目の前には、真っ直ぐ伸びた一本の道。
両側には、石でできた四角い建物が見える。人通りはまばらで、私は何かを小脇に抱え目立たないように小走りに歩いている。誰かに見つかっては、まずい雰囲気。
布に包まれた物は厚さ3センチ位の石版で、そこには古代の文字が刻まれているのがわかる。その価値のある石版を運ぶのに抜擢された私は、貧しくとも心の美しい信頼できる人物として、その土地の富豪から依頼を受けたようだ。

 急に焦りと不安を感じてふと建物の影に隠れると、息が自然に揚って声まで潜めてしまう。石版を狙っている誰かに見つかりそうで、とてもドキドキしてしまうのだ。
隠れた甲斐もなく、黒い布を纏った砂漠の男の2人組に見つかってしまった!
その内のひとりに殴られた拍子に倒れ、次の瞬間殺される!と感じた。
石版を奪った彼らを見ている私を生かしてはおけない・・・そんな風に感じる。
そして整体の最中に見た若い女性は、このアーニャの遺体だったのだとわかった。

 玲子先生の質問で、より具体的にこの時の過去世と現世の繋がりが明確になってきた。アーニャは、母と妹の3人家族。この妹は友人のAだった。私を殺した2人組の内、殴った男は、離婚した夫だった。そしてもうひとりは・・・父だと感じるのだ。
富豪は、Bさんという年上の友人。場所はイスラエル、1200年代の出来事。
名前は、アーニャ。28才。

 丁度数日前、現実に友人Aに裏切られた!と感じてしまう様な出来事があった。
過去世でアーニャの妹だったAは、仕事を依頼され選ばれた私を羨ましく思い、内緒で石版の搬送情報を砂漠の男に流していたのが、アーニャの死後にわかった。
今回裏切られた!と感じたのも、元は私のところに来た仕事の依頼を、Aに相談のつもりで話したところ、いつの間にかAがその仕事をしているのがわかったからだった。
私は依頼先に感じるものがあって、その直後依頼を断ったので、裏切られた!と感じるのはどうか?とも思う。でも相談で話した仕事を紹介されたと思い込み、私の知らない内にその仕事をAがしていると聞いて腹がたった。自分の思いの醜さに反省しつつも、Aに話さなければよかった・・・という思いが、どうしても拭い去れず苦しかったのだ。
そして元夫と「なぜかよくバッタリ会うんだ」と無邪気にAが言った時にも、2人には何か魂的な縁があるのかしら?と、とても不安で嫌な気持ちになってしまう、妙な自分の感覚に気付いていたのだ。そんな風に感じてしまう、自分に途方に暮れていた。

 2人組の私を殺した砂漠の男達は元夫で、もうひとりは父だった。
実結婚生活の中で奮われた暴力が3度あった。その時の彼の目は、理性を失くした非情さを持ち、「殺される!」といつも危険を感じる程のものだった。
そして彼と父は、初めて会った時から旧知の知り合いのように仲が良く、過去世からの知り合いかしら・・・とずっと感じていたのも事実。父と感じたもうひとりの男は、私に手をくださなかったが、いつも安心して信頼できる父娘関係を求めていた私にとって、結婚してからは常に夫の味方をする父の態度に絶望し、事実を言っても理解してもらえない苦しさと、自分の居場所のない孤独感を抱いていた。

 富豪だったBさんは今も裕福で、いつも何かというと老若男女間わず色んな人に援助をする人物だ。離婚をしてから親交が復活し、仲間を集めて再出発のお祝いパーティーを開いてくれた上、丁度彼のところに使わない中古車があったので、なぜかそれを気前よく私にプレゼントしてくれた。(前世のお詫びかしら?)
しかもその頃Bさんも、友人Aを見て裏切り!と強く感じたと言っていた・・・。
彼は自分でAとの別の過去世を思い出したようだったが、アーニャの過去世でも、彼が欲しかった石版の情報を密告したのはAだったので、もしかしたらこの事もあるのかしら・・・なんて感じたりもしている。

 今回のセッションでアーニャは、「私の中に眠っている強さを思い出してほしかったのだ」と言った。依頼された仕事は最後まで果たせなかったけれど、私の魂の中には、大切に思う事や約束を命がけで守ろうとする心の強さや美しさがあるのだと・・・
それを自分でとても誇りに思った、というアーニャの短い人生。
光に包まれ、やっと役目を終えて天の世界に帰っていった。

 セッションの翌朝、いつもはおはようとも言わない父が、不思議とニコニコしながら私の顔を見てこう言った。「なんだかお姫様みたいだな〜」
何も働きかけてもいないのに、何かが変わっている・・・
誠実なアーニャから石版をうばった苦い想い出が、ー緒に浄化されて楽になったのだろうか? ふとそう感じた。
子供の頃から衝突ばかりで、愛を分かち合いたいと願ってきた父との関係牲。
そういえば、話しかけても返事が返ってこないということが最近なくなっている。
それが、素直にとっても嬉しい。
 つい最近生命保険に入ろうかと検討していたら、父から「保険に入らなくてもその位は準備してあるから大丈夫だよ」と、優しいことを言われる。
自分の事は自分で!と昔から厳しく言っていた父が、そんな事を言ってくれるとは夢にも思わず、本当にピックリしてしまった。
ありがたいけど自分の為に自分で何とかしますと伝えたが、「お前の命の面倒は、お父さんが必ず責任持ってみるよ・・・」と言われたようで、前世から残っていたアーニャの想いが浄化された今、その言葉には本当に洗い流される様な感じがした。ありがたかった。

 光に帰ったアーニャは、「今回出てきたメンバーとの友人関係はもう卒業!です」というような事を言っていた。

 そして今の私自身、やどかりが自らの成長に伴って新しい貝に移るように、
新しい人や出会いを求めている、そんな自分の内側の声に気付いている。
勇気を出してわだかまりを越え、古い関係性を喜んで手放して、
新しい自分にそして仲間に会いに行こう!そんな元気が沸いてきた。

 ア−ニャ。私の大切な魂の過去世。
あなたは私で、私はあなた。
あなたが思い出させてくれた、「強さ」は私の宝物です。
あなたに出会えて本当に良かった。
感謝と敬愛の念であなたを手放します。


 2回目のセッションへ電車に乗って向かう途中、目の前に座った若い男性の存在に何故か圧迫感を感じる。なんだか息苦しさを感じ、軽いパニック発作のようになり、落ち着かせる為深呼吸しながら目を閉じた。
すると前回体験したセッションのような、新しい世界が脳裏に拡がってきた。
でもここは電車の中。セッションはこれからなのに・・・という頭をストップさせ、そのまま覗いてみる事にすると・・・こんな情景が現れてきた。

 ひしめき合う人々、悲しみと絶望感、やり場のない怒り・無力感、そんなエネルギーに満ちた、列車の中。椅子などひとつもなく人々を詰め込んで、何処かへ運んでゆく光景。私は、中年の痩せた男性。衣服は汚れ、やつれきっている。
ふと家族がいるのだが、離れ離れになってしまった・・・そんな想いがしてきた。
 どうしているのだろうか? 生きているのだろうか?
何もできない、逆らえない、ここは正に地上の地獄。
人で溢れかえり、うす暗く自分と他人の区別もできない程ハツキリしないが、
この中のどこかに自分が居て、それを上から眺めているような感じ。
現実には、電車の中にいるとわかっているのに、涙が出てきた。

 軍服をきた外国人の将校の姿が見える。厳しく私達を監視している。
どこかの収容所の光景。そこで彼は私達を監視している。
そして何故だか、さっき目の前に座った男性が彼なのだと思えてならないのだ。
具合が悪くなったのも、彼の目を見てからだった。
疑う思考を再び止め、その先を見ることにした。

 その将校の気持ちは任務を遂行しなければ、反逆罪で自分が殺されてしまうという強い恐れだった。彼は喜んで自分の仕事をしている訳では、決してなかったのだ。
むしろ、同じ人として生まれた者達を権力で押さえつけ、武力を行使し恐れさせている彼自身もまた、同じような無力感と罪悪感を感じているようだった。
泣きたい気持ちは彼も同じだった。
死への恐れもまた同じだったのだ。
そう感じたとたん、涙が溢れてきた。

 私と感じた男性は、収容所で家族と離れ離れになった事が何よりも辛いと感じているようだ。男性のもつ勇気や力強さは、ここでは全く役に立たなかった。何故なら、それが結果として家族をも殺す事に繋がってしまうかもしれないからだ。
ただただ無力感と絶望感。ここはナチスの収容所なのだ。
その後どうやって死んだとか、家族構成はどうだったとかは出てこなかったが、前回のセッションを思い出して、光に帰ったイメージをしてみた。
将校のエネルギーのほうが辛く重かったので、彼も光に帰るイメ−ジを試してみた。
そして、それぞれの繋がっていたコードを切って燃やし、光で満たした。

 不思議と気分は楽になっていて、ふと目を開けてみると目の前の男性が軽い笑みを浮かぺたように眠っていた。さっきまで感じていた息苦しさは、どこかに行ってしまった。
彼の優しい寝顔を見て、やはりこの男性はあの将校だったのだろう・・・と感じた。
恐れていた将校の心のうちを見て、私は泣いてしまった。
あなたも辛かったんだ・・・そんな想いで一杯だった。
本当に、辛い辛い時代の過去世!!

 子供の頃迷子になって、もう2度と家族と会えないんじやないか? と極度に恐れたり、告げられた帰宅時間に母が帰ってこないだけで、もう会えないんじゃないか? と、もの凄い不安に襲われたりといった事は、この時の中年男性のように切実だった。
 この頃はだいぶ軽くなったのだが、満員電車やバスに乗ったり、人ごみに行くと、動悸・発汗・息切れ等のパニック発作を起こしてしまう傾向があって悩んでいた。
そして、以前からナチスの収容所等を映像で見ると、このような場所に居た事があるような感覚がしていた。

 この地獄の体験から、権力・武力の乱用の恐ろしさ、命の大切さに国籍はないこと、家族を強く愛し求めていた気持ちを強烈に体験した。
そして立場の違う反対側の人の中にも、死を恐れて罪悪感を持ちながら任務を遂行していた人がいた事を知って、その辛さ・苦しさにも同じように心が痛み、理解し許せるような、そんな暖かく穏やかな気持ちになった。
全ては権力や死に対する、人々の持つ恐れが原因だったのだろうか?

 私の抱えている息苦しさや不安感は、時として言葉や物質、はたまた時代をも越えたエネルギーを敏感に察知する、大切なセンサーの役目を果たしているものでもあるかもしれない・・・そんな角度から見てみるとやはり興味深いものだ。
今回のような過去世からのものや過去世だけでなく、その場にある威圧的なエネルギー、そして危険な人物・出来事やエネルギ−の悪い場所にも、センサーは反応するものなのだと改めて思った。

 これでパニックを前にしたとき、少し恐れが減って楽になったのを感じている。
セッションに向かう途中の、電車の中での不思議な過去世体験だったのでした。


 さて2回目のセッション。今日はどんな体験をするのか? とても楽しみにしてきた。
初めての緊張感も取れ、とてもリラックスしている。
なぜだか、玲子先生にとても親近感を感じていた。

 いすに座ってセッションに入ると、どういう訳だか身体がカクカクした感覚。
カクカクした動きをしてしまう私の第一声は、「お人形さんみたい」だった。
前回のように、自分の感情や感覚というものはほとんど感じない。
辺りを見回すとそこは立派なお屋敷で、豪華なシャンデリアや壁には作りつけの本棚、背もたれが丸く金で縁取られた布張りの椅子やアンティーク調の机。

 私はアリス、19才。今机に座って勉強の時間という感じ。横には、家庭教師の女性が立っている。細身で背筋がスッと伸び、髪はきちんとまとめ上げられ、ロングスカートをはいている。眼鏡をかけた才女という印象。彼女はこれから大人になろうとしている私に、世の中の色々な事を教えてくれている。もうひとり老紳士のような、男性の教師がいる。彼は数学などの学問を担当している学問担当という印象。

 部屋の窓からは、広大で美しく手入れされた庭が見える。お抱えの庭師の姿もある。
机に向かってはいるものの、ただ座っているだけでお人形さんのような私。
退屈しているけれど、自分で楽しむ事を知らないお嬢様。
父は広大な牧場や畑を持っているフランスの富豪。生活はとても裕福で、まるでお姫様のよう。父の背は高く、すらっと伸びた手足、シルクハットを被っている。母は繊細さを感じさせ、どちらかというと地味なタイブ。ウエストをきつく締めたドレスを着ている。

 玲子先生に「兄弟は?」と聞かれた瞬間、不思議とお人形さんだった私の感覚が消え、満面の笑みがこぼれてしまう。感情というものが、溢れてくる。
そう、アリスには兄がいた。
緑の垣根の一本道を、馬に乗って走ってくる兄の姿が見えるだけで、アリスの胸はトキメキで一杯になってくる。とても優しく信頼でき、この世でー番頼もしい兄だ。
今回のセッションでアリスの心は、この兄の姿を見て初めて動かされたのだった。

 ふたりは昔から本当に仲が良かった。共に成長する長い年月が経ち、アリスが自分の恋心にハッキリ気付いたのは、兄の結婚が決まった時だった。
結婚して父の持つ別の農場を管理するため、兄は実家を出てしまった。
その時からアリスは、決して報われることのない燃えるようなその想いを、密かに独り封じ込めるしかなかったのだった。

 兄への想いを恋とするならば、アリスは親の紹介で会った、恋してもいない男性と結婚した。当時にしては婚期も遅く、経済的にも精神的にも申し分のない人物だった。しかし夫がいても、兄の存在の方が心動かされるという事をアリスは消せずにいた。心の奥底にありのままの想いを秘めながらの生活は、どこか淡々としたものだった。
 アリスは娘を2人授かった。しかし子供たちを愛してはいても、それだけでこの虚しさを埋める事はできなかった。
結婚してからも、兄と会うと止められない想いが溢れてしまうアリス。
そんなあってはならない想いを封じ込める為、兄とは会わないようになった。
 夫はいつの間にか愛人を作り、ほとんど家に帰って来なくなった。
生活に困る事はなく、アリスにとっては、それはどちらでもいい事の様に感じた。
兄の妻に嫉妬するという事はなかったが、自分では変えることのできない宿命に打ちひしがれ、心から何かを感じるという事が希薄になっているようだった。

 その後何かの戦争でイギリス軍がフランスに攻め込み、父の牧場や農園、屋敷までが荒らされてしまった。アリスは数人のイギリス兵にレイブされたが、その後その恐怖感や抵抗感で苦しんでいる様子は感じなかった。
 レイブがきっかけでアリスは腎臓を患い、その後10年近く療養生活を送る事を余儀なくされる。その間兄は実家に戻り亡くなった父の跡を継いだが、アリスはどうしても兄に近寄れないのだった。兄に会うと溢れ出る想い、それを感じるのが怖かった。
 アリスが感じていた様な想いは、兄もずっと持っていたのがわかった。
やはり自然に湧き出てしまう想いに、兄も何度か悩んだ事があったのを感じた。
けれど彼は、アリスより上手にその想いをやり過ごせていた。

 その後回復することなく、アリスは死を迎えることになる。清潔なベッドに横たわり枕元には医者がいる。右側には兄が椅子に腰掛け、アリスの手を握っている。左側の布団の上には、小さな孫娘が無邪気に寄りかかっている。
とても美しく安心できる光景。窓からは暖かく柔らかい光が差し込んでいる。
少し老け始めた兄の手からは優しく、全てを包み込んでくれるような暖かさを感じる。
兄の眼差しは、変えることのできない兄妹という宿命と彼の想いに挟まれ、ずっと苦しんでいたかの様な真摯な想いに彩られていた。そこに、言葉はなかった。
アリスは苦しむことなく、眠るように息を引き取った。

 兄を慕い、兄を一途に想いながらも、成就することのなかったアリスの人生。
変えることのできない宿命に苦しみつつ、溢れ出る想いは生涯変わることなく、
その強い想いこそが、このアリスの人生で唯一美しく輝きを放っていたものだった。

 ひとりの人を愛し、愛されることは、生きる力。それは、聖なる美しいハーモニー。
愛する人と結ばれることは、何より変えがたい魂の喜び。

 成就されなかったアリスの想いを、今世で果たしたい・・・
私の中にそんな魂からの声が、あったのかもしれない。
アリスの人生の登場人物は、やはり今世でも出会っていた。

 家庭教師の女性は玲子先生で、今もこうして私に色々な世界を教えてくれている。
「いつもはパンツ姿が多いのに、私とのセッションでは、なぜかロングスカートをはきたくなるのよ・・・」そう言われて、驚いた。とても懐かしい感じがした。
 両親だったのは友人D夫妻で、アリスの夫は、今世で離婚した元夫だった。
このD夫妻とは5年程前、同じ時期にトントン拍子に恋愛が進み、数ヶ月後互いに入籍の報告をし合った。私達は、度重なるアクシデントでなかなか式が挙げられず、やっと式を挙げようと思った式場は、D夫妻が挙げたのと同じ式場だった。
結局その後、まるで神に「相手が違いますよ!」と言われているかのようにトラブルが続き、神聖な結婚式を挙げられないまま、別々の道を行く選択をすることになった。

 過去世の兄は、Cさんという男性。12年ほど前いとこの紹介で出会い、その夜は彼が頭から離れず、何故かドキドキして眠れないという体験をした相手だ。
前世からの知り合いのような気がしていたのだが、やはりそうだったのだ。
離れて暮らす親戚の家への旅先での出来事だったので、その時は気のせいだと思うことにした。そうして日常に戻り、少しづつ彼の事を忘れるように意識的に努力した。
 その翌年再び彼に会った時、またまた同じトキメキが溢れ出し困ってしまった。彼に会うと出てくる抑えきれない特別な想いに気付き、彼に気持ちを打ち明けた。
彼も同じ様に感じていると言うものの、恋愛関係には進展させてくれなかった。
見えない壁をいつも感じ、私にはそれをどうする事もできなかった。

 どうしてこんなに想いあっているのに、ー緒にいられないのだろう???
今世だけで見れば彼は人の気持ちを弄ぶ、調子のいいただの嫌な奴だった。
叶わぬ恋と何度も諦めた。ふと月日が経って、もう大丈夫だろうと友人気分で会いに行くと(彼はレストランをやっている)、やはりどうしても抑えきれない恋心が溢れてきてしまうのだ。彼もまた、会うと特別な感情が出てきてしまい、何か特別だと言う。

 そんなことを7年続け、結婚したいと想える相手に出会い話がまとまった頃に、なぜか彼から電話が入る。報告するととても意気消沈していたので、動揺した。でも今までのいきさつから考えても、彼が本気とは思えなかったので自分を貫くことにした。

 結婚して数年連絡もとっていなかった彼が、離婚後なぜか突然電話をしてきた。
これには、本当にぴっくりした。彼は「まだ結婚しているのか? していなければいいのにと思って・・・」と言うのだ!! その頃彼は体調がすぐれず困っていた。離れていても彼の体調がこちらに伝わり、聞いてみると痛いところや熱を出していることまで、ほとんど毎日一致してしまう。ひょっとして今、私達の魂が繋がっているのかしら???
避けられない運命の様なものを感じ、私は彼に直接会ってみることにした。

 今までさんざん肩透かしをくらっていたので、警戒しながらも会ってみると・・・
彼はとても優しく、初めて向き合い、大切にされている感じがした。
長い間想いがある事がわかっていても、深い関係は一度もなかった。前世で兄妹だったからかもしれない。そう、彼は一度も私に手を出そうとした事がなかった。
この時もそれは変わらず、私達は11年目にして初めてデートらしいデートをした。
着いた時は、雪。翌日は、曇りそして雨。その翌日は、晴天。
「なんだか全ての天気を体験したな〜」と、ふと彼が嬉しそうに言った。
そして2人で出かけた湖で、太陽の周りに輝く丸い虹(珍しい!)を見つけた。
大きな宇宙のサポートを感じた。虹は完成のシンボルと、ふと思った。
すごく幸せだった。彼といるとアリスの様に心が弾んで、元気になってしまうのだ。
この時、私はようやくふたりの恋愛の始まりを感じていた。

 結局この時の私の淡い予感は、その後のCさんの選択とは違ってしまい、どうやら、今世でも成就することはなさそうだ。
今だから言えるが、離婚直後の失恋のダメージは相当なものだった。
長年苦しんできた不可解なCさんの態度を知っていただけに、同じことの繰り返しと自分のおバカさん加減に本当に失望していた。
何もかもが色褪せて、生きていることが重く辛かった。天国から地獄の気分だった。
離婚よりも、Cさんとの気持ちのすれ違いの方がずっと悲しかった。

 今回アリスの人生を思い出して、気持ちが本当に楽になったのを感じている。
「長年Cさんに対して感じていたのは、今世の私ではなくアリスの過去世から来ている想いだったのかもしれないわね」と玲子先生に言われホッとした。
彼も魂レベルでそれを覚えていて、私に何かを感じていても動けない不可解な自分、それは=兄としての自分を感じていたのかもしれない・・・。ふとそう思った。

 光に帰ったアリスが教えてくれたのは、「Cさんは今でもあなたの事をとても愛していますよ」だった。その優しく光に満ちた声に、思わず笑みがこぼれた。きっと、恋は成就することだけが、大切ではないのだ。愛の世界は、より偉大なものなのだろう。
Cさんとの恋愛は、今後も進展しないだろう・・・。でもそれは、仕方のない事。
私達は互いに何度も転生し、あの当時のままのアリスと兄ではないのだから・・・
 やっと自分を批判することなく、そんな風に思えるようになってきた。
アリスが私に教えたかったのは、不可解な恋愛も過去世から見てみると、謎が解けるということを実際に体験すること。そして今世で、聖なるパートナーシップを築ける相手と出会うことは、とても大切なことだというものだった。

 もっともっと自分を見つめ、ありのままの私を受け入れ、愛せるようになったら・・・
今度こそ、聖なるパートナーシップを築ける人と出会えるかもしれない。
互いの魂と魂が求め合う、深く繋がれるパートナー。

 もしも願いが叶うなら、今度は互いの人生を分かち合い、時を重ね、その美しい愛のハーモニーが宇宙に拡がって、周りや地球をもハッピーにしてしまう様な・・・
そんなパートナーシップを一緒に生み出せる相手に、巡り合いたいと思う。
いつかまた、そんな出会いがあるのかはわからないけれど・・・
まずは、やはり自分を信じてみることから始めてみよう。

 離婚して新たなスタートラインに立てた今だからこそ、2回のセッションで見たような、元夫やCさんとの過去世は、光に浄化される必要があったように思えてならない。
 この数年、私の努力や意志、行動ではどうにもならなかった辛く重い現実。
それはずっと私の中で気付いていなかった、未浄化のままの過去世があって、そこには今の私に必要なメツセージがあったからなのだと、玲子先生に教わった。

 アーニャが思い出させてくれた、私の強さや誠実さ。
アリスが教えてくれた、愛し愛される関係性を求める強い想い。
そしてふたりは私だった。
嬉しいことに私の魂には、この素晴らしいふたりの体験と知恵が、しっかりと刻み込まれているのだ。なんだか心強くなってくる。

 魂の世界の壮大さを、この体験を通して改めて学ぶことができた。
能力者に過去世を尋ね教えてもらうより、
こうして自分で体験することの方が、よりリアルで、実感も伴いスッと入ってくる。

 セッション以来、父は優しく、話しかけると返事が返ってくる。
電車に乗るのが、それ程苦痛でなくなり楽になった。
自分の中にエネルギーを感じ、前向きになった。
これが心と体と魂のヒーリングとよばれる訳だ、と思った。